東京都都知事
石原慎太郎 殿

2002.07.24   
東京オオタカ保護連絡会
代 表  尾 崎 洋 


抗 議 文



 東京オオタカ保護連絡会から、7月4日付けで、東京都知事に対し、要望書・意見書を提出しており、意見書については7月18日までに文書による回答を求めておりました。それに対し、東京都担当課長より20日に受け取った回答に対して以下の点で、異議を申し上げます。

検討会で確認された、専門家(東京オオタカ保護連絡会)の意見として

 
1、本年度の営巣は、計画地内部では行われず、隣接地において行われた。
 
 2、計画地が生息個体にとって必要不可欠な場所である可能性が高い。

 3、保護対策の検討にあたっては、内部構造の把握(2営巣期)等更なる調査が必要。

 4、許認可の判断は、東京都(規制部会)でなされることでこの検討会ですることではない。


 5、今後の調査如何によっては計画地が営巣中心域にかかわる可能性もあり計画の抜本的見直しが必要となることもありうる

 以上を6月24日に山一土地株式会社と確認しており、同社より東京都へも報告されているはずです。
 まず異議を申し上げたいのは、東京都知事宛ての要望書に対し、回答が環境局自然環境部保全課長名のものである。
 また次に、下記の要望3点とも、検討会にオブザーバーとして参加してきた都としては、全く専門家の意見を組み入れていない点に対してである。

要望1に対して 東京都の回答

 350m区域には営巣が無いことから許認可するという見解を都では示していません。都では、オオタカについて猛禽類保護の進め方に沿って調査を進めるよう事業者に対して指導しています。今年3月に計画地において繁殖につながる行動が観察されたため、猛禽類の保護の進め方の検討手順に従い今回の会議が開催されたものです。


 猛禽類の保護の進め方に則って、調査・検討を進めるのであれば、当然、2営巣期の調査後にしか判断できない。


要望2に対して 東京都の回答


 オオタカの調査期間については、計画地がどのように利用されているか検討するにはデータが不足しているため2営巣期の調査を実施することが確保されており、猛禽類の保護の進め方に沿ったものとなっています。また、仮に工事を行う場合についても、NGOや専門家で構成する検討会での検討を踏まえて、工事は行われることになります。

 2回開かれた検討会でも、専門家の葉山先生、東京オオタカ保護連絡会とも、2営巣期の調査が必要で、許可後の調査は原則ありえないとの見解である。従って、現時点での許認可はありえない。


要望3に対して 東京都の回答

 仮に計画の抜本的見直しが必要となった場合は、許可を受けた行為の規模等を変更することになるため、自然保護条例第49条第1項に基づき変更許可を受けなければならないことになっています。その際、都は変更計画がオオタカの保全に十分配慮されたものとなるよう指導を行います。

 現時点でオオタカにとって、計画地の評価が判断できていない。しかも今後の調査によっては、計画地が高利用域でなく、営巣中心域となる可能性もあり、現時点での許認可は不適切。
 許認可後の調査と簡単に言っているが、簡便な工事といえども、調査への影響は否めないと検討会では指摘をしている(葉山先生、東京オオタカ保護連絡会とも)。



 さらに東京都は常々、NGOとのパートナーシップといいながら、今回の事業者を指導した検討会の結果について、規制部会に対する都としての報告で、専門家の意見を正しく報告していない点、意見を聞いただけという態度であり、専門家を愚弄する、誠意無き対応です。

 この3回の規制部会を見ますと、検討会とは、種の保存法にもとづく、猛禽類の保護方策の進め方に則った機関として東京都には、理解されていないと判断をせざるを得ません。




 1.猛禽類保護の進め方(P17)に有りますように、都道府県自然保護部局においては、一連の過程の中で積極的に関与・協力し、猛禽類の保護の中心的役割を担うよう努めることが望ましいとあります。 その点、この回答では、永山北部丘陵開発に伴う希少猛禽類保全策の実施について、都の姿勢・責任を何等示していません。この点、東京都の考えを問いたい。

 2.東京オオタカ保護連絡会としては、専門家としての立場からの意見が、きちんと担保され、監査機関が明確にされなければ、今後検討会への参加を見合わせざるを得ません。その点、東京都の反省と考えを問いたい。
 以上2点に対して、東京都知事の文書による誠意ある回答を、2002年8月10日までに要請いたします。

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